J・M・クッツェー『スペインの家 三つの物語』―ノーベル文学賞作家が描く移住と喪失の物語
J・M・クッツェー『スペインの家 三つの物語』―ノーベル文学賞作家が描く移住と喪失の物語
南アフリカ出身のノーベル文学賞作家、J・M・クッツェーが描く『スペインの家 三つの物語』は、移住と喪失をテーマにした珠玉の短編集です。本書には、彼がオーストラリアへ移住した時期に執筆した三篇が収録されています。
収録作品
- 「スペインの家」:国外移住を決意した主人公の心情を、皮肉とユーモアを交えて描く。
- 「ニートフェルローレン」:幼少期を過ごした土地への愛と惜別の思い、そして南アフリカの経済的変化への失意を綴る。
- 「彼とその従者」:ロビンソン・クルーソーの物語を寓意として織り込みながら、クッツェー自身の体験を語るノーベル文学賞受賞記念講演。
本書の魅力
本書は、移住による喪失感や新たな土地での生活への期待を、クッツェー独特の視点で描いています。特に「彼とその従者」は、2003年のノーベル文学賞受賞記念講演の全文を収録しており、彼の思想を深く知ることができる貴重な一篇です。
書籍情報
- 著者:J・M・クッツェー
- 翻訳:くぼたのぞみ
- 出版社:白水社
- シリーズ:白水Uブックス
- ISBN:978-4560072448
- ページ数:124ページ
- 発売日:2022年11月26日
文学ファンならずとも、移住や喪失というテーマに興味がある方にとって、深い洞察を得られる一冊です。ぜひ手に取ってみてください。